昨日に引き続き、耐力壁ジャパンカップのことです。

準決勝 第2試合は、

2回戦の対戦で、すでに、ややダメージを受けています

東北職業能力開発大学校の「ポリテクのX」の壁VS、

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横綱、昨年総合優勝のチーム匠、

(アキュラホーム+東京大学木質材料研究室+篠原商店)

「紬~evolution~」です。

この壁のすごさは、対戦後に加力を抜くと、

平行四辺形に変位していた壁が元の四角形に戻ることです。

そのため、全くダメージなしと言ってもよいくらいの状態です。

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どちらも、非木材を一切使用していない同士ではありますが、

好対照な耐力壁の対戦になります。

結果は、「ポリテクのX」の桁が破壊されてしまいまして、

勝ちましたのは、横綱「紬~evolution~」です。

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見た目には、左の「ポリテクのX」の壁の方が、

強そうに見えるのですが、やはりその強さ故でしょうか、

桁と土台が破壊されていました。

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筋違いの強さの証明でもあり、筋違いの弱点の表れでもあります。

勉強になります。

今日は、少し間が空きましたが、

ふたたび耐力壁ジャパンカップのことです。

準決勝 第1試合は、

2回戦を見逃してしまいました滋賀職業能力開発短期大学校の

「二代目ダイアゴナル」

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こちらの耐力壁も、2回戦第3戦でご紹介しました、

秋田職業能力開発短期大学校の「クロスファイヤー」と同系で、

貫を筋交いのようにやや斜めにして、交互に配置してあります。

こちらは、昨年の初代ダイアゴナルの改良版で、

去年の結果を踏まえて、貫により勾配を持たせることで、

貫と柱の接合部でより圧縮と引っ張りの両方に

対応できるようにしたそうです。

また、非木材は使用していません。

対する壁は、昨年のトーナメント優勝チームの

株式会社ポラス暮らし科学研究所の「BONE」です。

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各チーム対戦の前には、

プレゼンテーションタイムが5分間与えられているのですが、

チームのメンバーがお昼を食べに出掛けてしまっていたため、

聞くことができませんでした。

いつもプレゼンテーションで楽しませてくれるので、

ちょっと残念でした。それでも結果は、

より変位が大きかった「二代目ダイアゴナル」に

決着がつく直前にみんなが帰って来た「BONE」が勝利しました。

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2代目ダイアゴナルの貫と柱部分は、

こんな感じに変形していました。

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この部分を解体してみますと下の写真のように

貫が柱にめり込んでいるのが良くわかります。

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想像以上に耐力を有し、

粘りのある耐力壁だと言うことがわかりました。

今日は、耐力壁ジャパンカップの競技の流れをご紹介します。

今年の会場は、日本建築専門学校でしたので、

会場である日本建築専門学校の学生の皆さんの協力で

今年の大会は運営されていました。

写真で作業着を着てヘルメットをかぶって

作業をしているのが学生さんたちです。

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先ず、2体の耐力壁を加力試験台へ設置しボルトなどで固定します。

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そして、2体の耐力壁同士をジャッキでつなぎます。

このジャッキを縮めることによって2体の耐力壁は競い合います。

このジャッキは、人力でレバーを上下に動かすことで縮まります。

この作業も「もっと早く!」などと言われながら

学生さんが行っています。若い力に感謝です。

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対戦中、それぞれの壁の耐力は計測され、

スクリーンに映し出されています。

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そして勝敗がついて加力を緩めますと、

ここで初めて見学者たちは耐力壁に近づくことが許されます。

しばしよってたかって見学した後は、

解体される負けた方の壁から取り外します。

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取り外した壁は、学生さんたちが

解体をする場所へと移動してくれます。

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次は、解体にかかる時間を計測するのですが、

それぞれのチームの解体スタッフが

木材ごとに分別し、非木材は全て取り外します。

もちろん解体にかかる時間が短い方が総合ポイントでは、

プラスのポイントになります。

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この作業を見ることで、どこに負荷がかかっていたのかなどを

知ることができます。また、組立を見ていない場合には、

ここで、やっと耐力壁の仕組みを明らかに知ることもできるのです。

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解体作業は、最後に木くず等もきれいに集めたところで終了です。

みなさん汗だくになって頑張ってます。お疲れ様です。

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最後に、解体された材料は、材料ごとに計量を受けます。

これで、競技は終了です。

朝からほぼ休みなく丸一日、しかも3日連続、

日本建築専門学校の学生の皆さん、お疲れ様でした。

今年は特に、統制がとれていて動きもテキパキとしていて

たいへん好感が持てました。どうもありがとうございました。