日常生活を送る場がここちよいことで、「この感じ、とても幸せ」と実感することがあります。そこで、日常生活の場をここちよい空間にするために、次の3つの点を大切に家づくりをしています。

出来るだけ、四季を通じて自然と親しく暮らしたい。
家の中が寒いのはイヤ、冬もあたたかく暮らしたい。
カビや化学物質などでアレルギーが出ないよう、いい空気の中で暮らしたい。

実際にこれらを考慮して建てた家に住んでみると、改めて住まいの違いによって、健康的な生活を送ることができるのかということを、実感していただけると思います。もちろん、同じような家を建てたからといって、誰でも同じとは限りませんが、オフィス兼モデルハウスにお越しいただいたお客さまが「長い時間の打ち合わせでも、不思議と疲れないですね」とお話しされますので、人が体のどこかで敏感に感じるものがあるのではないかと考えています。
 
そこで、具体的な仕様について下記の3つをご紹介いたします。

室内温熱環境

自然の空気の流れを利用する

住み心地がよいと感じる家とは、四季を通して、その季節感を満喫しながらも快適に過ごせることです。
そのためには、できるだけ自然の力を利用して、家の中に自然の空気の流れをつくり出すことが効果的です。それは、省エネを考えることにもつながります。
夏は涼しい空気を取り入れ、暑くなった空気は外へ出す。冬は温まった空気を循環させるとともに、適度に換気をすることで、夏も冬も図のような快適な暮らしができるようになります。

小さくてもいいので吹抜を設ける(煙突効果)

家には小さくてもいいので吹抜を設けます。各部屋をつながりやすい配置におき、この吹抜を“煙突”のように利用して、空気の流れをうみだします。
 なぜ“煙突”なのか?
 それは空気の自然な流れは横方向よりも、上下方向の方が温度差によって動かしやすいからです。暖かい空気が上にあがり、冷たい空気が下にさがるという自然の仕組みを利用しています。

風向きを考慮して窓を設ける

窓は外とつながる大切な部分です。室内からの景色やお隣の窓の見え方も大切ですが、その土地の風の流れも忘れてはなりません。夏には熱い南側の風ではなく、涼しい北側などの風を取り込み、冬には太陽の温かい日差しを取り入れつつ、なるべく閉じる窓の配置を心がける事が大切です。

また、ハイサイド窓は吹抜と併用すると、夏は吹抜を通りハイサイド窓へと風が抜けるのを肌で感じることができますし、換気能力も高いのでカビなどの発生を抑えます。注意が必要なのは、真夏の強い太陽を取り込んでしまう方位につけないこと。その点に気をつけると、曇りの日でも、安定した明るさを室内にもたらせてくれる嬉しい存在になります。

設備は効率良く設ける

冬、足元が暖かいことはしあわせです。
できれば1年中裸足で暮らしたいけど寒がりの人にピッタリなのが床暖房です。
 床暖房を吹抜と合わせて計画すると、温められた空気が家全体に広がり、各部屋によって急激な温度変化が起きないため、心臓に負担のかかるヒートショック現象の心配もなくなります。また、小さなお子さまがいらっしゃるお宅では、暖房機器が露出していませんので安全ですし、電気やガスのコード等を気にすることもなく、冬の温かい空間で安心して過ごすことができ、多くの方からご満足いただいています。

また、年々暑さの増す夏にも吹抜上部にエアコンを設置することで家全体を緩やかに冷やします。
直接風を受ける不快感も緩和でき省エネにもつながります。

断熱性能

暑さ寒さをシャットアウト

断熱性能は目には見えませんが、住み心地の上で大きな差が出てきます。なぜなら、日本の多くの地域では高温多湿な暑い夏と、乾燥した寒い冬があり、それを快適に乗り切るためには、室内外の温度や湿度の差を、コントロールする必要があるからです。
そのためには大切にしているポイントが三つあります。

外気に接する部分(屋根・外壁・床など)に適切に断熱材を充填する。
断熱材を選択するときに、室内を調湿してくれるものや、廃棄する際に環境布荷の少ないものを選択する。
開口部(窓・ドア)には高い断熱性能を持たせる。

最近の断熱材は、天然のウールを使った呼吸するものや、セルローズファイバー、ポリエチレン系の環境負荷の少ないものがあり、開口部には、北欧の長い歴史の中で培った木製サッシメーカーのものや、国内の断熱性能に優れた樹脂サッシが出てきていますので、お住まいの地域にあった性能で、それぞれ選ぶことができます。

湿気・結露対策

床下や壁の中も気持ちよく

日常生活の中では多くの湿気が発生します。人の呼吸、お湯を沸かしたり、時には洗濯物を干したり。木の家の場合、窓を開けて換気をするだけでなく、柱や梁が湿気を吸収、調湿する手助けをしてくれ、ここち良く暮らせるようになります。
しかし、壁内に入った湿気の場合は、換気をしなければ湿気がそこに留まり、材料にカビを発生させる原因になってしまいます。壁内に入った湿気を外へ出すために、各部位に合った通気工法を取り入れています。

床下換気工法

住まいの床下は、日常生活では全く見えることの無い部分です。この床下が乾燥しているということが、日々の生活ではもちろん、家を住み継ぐためにはとても大切です。床下が湿っていると、腐朽菌(ふきゅうきん)やシロアリが発生しやすくなります。それを防ぐために換気が必要です。
基礎パッキン工法では、全ての基礎と土台の間にパッキンを挟むことで、まんべんなく隙間をつくり、均等な換気をすることが可能となります。
更にこの工法では基礎のコンクリートと木の土台が直接接してしまうと、この段階ではまだまだ乾燥が不十分なコンクリートの水分が木へと伝わってしまうことを防ぐこともできます。

外壁通気層工法

壁の中が湿気によって結露をしないために、外壁の構造体と仕上材の間に空気層をつくります。空気層の中の空気は、昼間の温度の上昇により外壁下部の入口から上部の出口に向かって上向きの気流が生まれ、壁内(構造体、断熱材)の湿気を吸出し、外気へ排出する働きをしてくれます。

屋根棟換気工法

外壁同様、屋根も構造体と仕上材の間に空気層をつくり、屋根面の温度上昇を利用して通気をします。屋根面の場合は軒先に入口、最上部の棟に出口を設けます。
この空気層は、夏の暑い太陽で熱せられた屋根下の暑い空気を排出することもでき、室内の温度上昇を少なくするという、もう一つの大きな効果もあります。

ものさし

住宅性能の数値化には色々あります

人によってここちよさには違いがあります。
ここちよさを数値化すのには無理がありますが、住宅の性能を測るものさしは、いくつもあります。

長期優良住宅認定制度
 いいものを作って、きちんと手入れをして長く大切に使うための制度

低炭素建築物認定制度
 省エネ基準を一定基準以上に削減する制度

CASBEE
 住生活の質を向上させ日本全体の環境負荷を削減するための基準

BELS
 建築物省エネルギー性能表示制度
 第三種機関による省エネルギー性能の評価指針

HEAT20
 エネルギーと室内環境の質が両立する住宅を目指す民間団体がまとめた指標

松匠創美では、住まい手のご家族にとって、最適なものさしで住まいの性能を一緒に考え、実現したいと考えています。