こんにちは。
葉山・逗子・鎌倉を中心に無垢の木で注文住宅を建てている工務店【松匠創美(まつしょうそうみ)】です。
暑い暑い8月も最終日です。新型コロナウィルスの心配もありますが、大型台風や台風被害のことで心が休まらない季節になってきました。今日は先月の「風向きを知る」に続いて風のお話しで、「近年の台風と住宅」について書いて行きたいと思います。

地球温暖化の影響で台風の勢力が増してきているように思います。平成30年に近畿地方などに甚大な被害をもたらした台風21号。昨年、関東に上陸した台風15号や19号は、屋根材や外壁材が吹き飛ばされたり、捲れたりと、これまでの台風に対する考え方を改めて行かないとならないと思いました。

気象庁のサイトに、風に関する用語の説明で「日本版改良藤田スケール」というものがあります。元々の藤田スケールは、シカゴ大学の藤田博士とアメリカ国立暴風雨予報センターの局長が提唱したもので、竜巻気象観測機が設置されてない地域に竜巻などの局地的な風害が発生した時、その被害状況から風害の風速を推測するための尺度です。「日本版改良藤田スケール」は、その藤田スケールを日本用に改良したものです。
その表によると、「木造の住宅において、比較的広い範囲の屋根ふき材が浮き上がったり、はく離する。屋根の軒先又は野地板が破損したり、飛散する。」は、風速が39~52m/sです。
実際には竜巻などの風害で使われるものですが、これを台風だと考えると、大阪の平成30年台風21号の瞬間最大風速は47.4m/s、昨年の台風19号は横浜で43.8m/sを観測しました。
また、昨年の千葉に上陸した台風15号では、屋根が吹き飛ばされるだけではなく、街が崩壊するかのような被害を受けました。その時の最大風速は57.5m/sで、日本版改良藤田スケールでは「木造の住宅において、上部構造の変形に伴い壁が損傷(ゆがみ、ひび割れ等)する。また、小屋組の構成部材が損壊したり、飛散する」になっていいます。
(気象庁のサイトhttp://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kaze.html)

逆に考えれば、このクラスの台風が上陸する場合のイメージされる住宅の被害とも考えられるので、台風対策や避難などに役立てることもできるかも知れません。

建築基準法では外壁や屋根ふき材の耐風圧に対する強度の定めがありますが、最低限の基準を定めている建築基準法より実際には、JASSの標準仕様書や各材料メーカーの標準施工書によって現場は進んでいるため、耐風圧については最良の方法を取っていると考えられています。
また、窓についても建築基準法でJIS規格の性能に適合している事が決められていて、3階建ての高さに必要とされる耐風圧性JIS等級はS-3といいます。日本サッシ協会の早見表ではS-3の想定する風速は51m/sに相当するので、昨年の台風19号クラスでしたら、ガラスは持ちこたえてくれそうです。ただ、飛来物の事もあるので近隣環境によって対策も変わってくると思います。

自分自身の実家も含めて、まだまだ昨年の台風から復旧しきれていない家があると思います。
毎年やってくる台風に対応していけるよう、松匠創美でも地震や劣化対策と同じように「風対策」についても考えて行きたいと思っています。

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