■ 第56号 ■

■□・・――――――――――――――――2011年09月28日

木の家を知る・建てる・暮らす

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□ 目次

【1】 こんな感じに過ごしています「 台風が過ぎて 」

【2】 「 埋蔵文化財包蔵地とは 」

【3】 家づくりのことば 「ツキツケ 」

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【1】 □こんな感じに過ごしてます・・・

こんにちは 田村です。

葉山に住んでいて「台風凄かったねぇ~。」と言う会話を あまりしたことがありませんでしたが 先週の台風には驚かされてしまいました。

久保もブログで紹介していますが 道には風で散らされた葉と折れた枝 それに混じって何処から飛んできたのかわからない家の部材などが落ちていたり デッキフェンスや樹木なども 強い風に押し倒されていたりと あまり目にした事のない光景があちらこちらで起こっていました。

さらに驚いたのが 庭の花や樹 今年流行りの緑のカーテン(ゴーヤ・朝顔)や野菜が 一晩で枯れてしまっているのを見た事です。

私の母は庭で植物や野菜を育て 花が綺麗に咲くことや収穫をとても楽しみに暮らしていますが たった一晩でその楽しみを奪われ落胆してしまいました(涙) 葉野菜が駄目になったので 三浦方面の農家に買い物をしに行ったら「台風でほとんどやられてしまったよ。」と農家のお母さんたちも悲しそうでした。

雨があんなに沢山降ったのに どうして枯れるなんてことになるのかと枯れ具合を観察したら 日に焼けたように葉が茶色く染まりカサカサした状態でした。「舐めてみるとしょっぱいよ。」と農家のお母さんが苦笑いしながら教えてくれたその原因は 海水が雨になって降ってきたことの「塩害」によるものでした。

塩害2

なんでも雨として降り続けていれば 塩は溜まらずに流れでるそうですが あの日は雨が降ったのは3~4時間ほどで その後の強い風が吹き続いた事で水分だけ飛ばされ 塩の浸透圧が強くなってしまったそうです。

自転車や車、エアコンの室外機などが 海から吹く塩風で錆びやすいと 葉山に住んでいる人達の間では日常の悩みの種ではありましたが 植物や野菜が枯れてしまうという経験は初めてのことでした。

そして台風から4日過ぎても ガソリンスタンドに洗車待ちをしている塩まみれの車の列が途切れない風景が続いたことも「台風凄かったねぇ~。」と言わずにはいられない出来事でした。

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【2】「 埋蔵文化財包蔵地とは 」

こんにちは設計の田中です。

久保のブログでも紹介がありましたが、先日、埋蔵文化財包蔵地に指定された敷地の工事が着工しました。

市の教育委員会による立会いの下、掘削工事を行ったのですが、もし、住居跡などが出てきたら大幅な予定変更になるところでした。今日は、その埋蔵文化財について簡単にご紹介したいと思います。

たいてい都市部の敷地は、防火地域や商業地域など様々な地域、地区が都市計画法によって指定されています。建ペイ率、容積率、高さの制限、防火規定の内容は、この地域、地区によって変わってきます。埋蔵文化財包蔵地とは、これら都市計画法とは別に、文化財保護法によって指定された地域で、遺跡や遺物などが地面の下に埋まっている可能性が高い場所が指定されています。

この地域に指定されていると、工事で地面を掘った際に遺跡や遺物を破壊してしまわないように、手続きと工事立会い調査が必要になります。法律では、遺跡が出てきた際に自らが勝手に発掘調査をすることを禁じ、また遺跡への対応をまったくしないで工事や開発を進める事も禁じています。

工事の立会い調査は、少しの深さでも地面を掘るのであれば実施されます。工事の初日に教育委員会の人の監視の下で慎重な掘削作業を行い、それらしい物が出てきたら一旦作業止め調査します。問題なければ再開し、所定の深さまで掘っても何も出てこなければ終了になります。

もし50センチ以上地面を掘る様な工事の場合は、工事着工の前に2mx3mほどの範囲で教育委員会が試掘を行います。大きな重機で大切な遺跡を傷つけない様にするためです。

もし遺跡が出てきてしまった場合は、その後の工事は中断して本調査の段取りに入ります。本調査は予約だけで数ヶ月待ち、調査期間は遺跡の状況で様々です。また、本調査に掛かる費用は市町村によって異なります。全額を市町村が負担する場合もあれば、事業主(施主)が全額負担しなくてはならない場合もあります。

埋蔵文化財包蔵地に指定されている地域は、深く掘れば掘るほど遺跡が出てくる可能性が高くなります。地盤が軟弱だった場合には、重い建物を建築するには地盤改良が必要になる場合があります。その場合には遺跡に当たってしまう可能性が高くなるなど、デメリットはあるのですが、メリットもあります。

例えば、先日の立会い調査の時は室町時代くらいの地層から素焼きの食器の破片が出てきました。これは、この辺りに暮らしが営まれていたことを示すもので、住居跡そのものが出てきた訳ではないとのことでした。という事で、結果は、本調査の必要無しと判断され、工事は予定を変更することなく、進めることが出来ることになりました。

今回のように、家を建てるにあたって大きな影響も無く、昔の人が生活の場に選んだ歴史ある地域に暮らせるという事はひとつのメリットではないかと思います。宮城県の復興計画で高台に暮らすか否かで話題になったような昔の人の知恵が、きっと隠されていると信じています。

土地選びはとても大変な作業だと思いますが、施主が選ばれた土地の目に見えにくいメリットにも目を向けて行きたいと思います。

設計:久保歩美・田中伸二 松匠創美の「家づくりの考え方

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【3】 □家づくりのことば・・

私(田村)が 事務所内で飛び交う会話の中に「今のは何だろう?」と思う建築用語が たくさんあります。なんとなく聞き覚えのある言葉や 初めて耳にする言葉などをここで少し紹介したいとおもいます。

○ツキツケ

前回紹介した 目透かしや小間返しという施工方法は 部材をつなぎ合わせる際に隙間を設ける施工をしますが その逆で 接合部分に隙間をあけず合せることを「突き付け」と言うのだそうです。

目透かしのように隙間をもうけることで木材などの微妙な厚みや動きのズレを避けれない分 節などの少ない筋のいい材料(往々にして高価である場合が多い)を選ぶことが重要で さらに 見えない部分に添え板や金物などを補強するなどの工夫を必要とするため 手間も費用もかかるそうです。

「木は動く」と知らなかった頃は 隙間なく合せることがあたり前のように思っていたのですが ピッタリとつなぎ合わせることが難しいのではなくて 維持をさせることが重要で技術が必要なのだと 久保が教えてくれてからは 予算なども含めたそれぞれのプランで施工方法を使い分け 家が建っていくのだなぁと改めて思い感心してしまいました。

○突き付け=部材の接合法の一つ。部材端部を切断しただけの状態で突き合せて接合する。「建築用語辞典」岩波書店より

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☆お付き合いいただきまして ありがとうございます☆

出会い・つながる・木の住まい

有限会社 松匠創美

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