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■ 第39号 ■

■□・・―――――――――――――――2011年02月02日

木の家を知る・建てる・暮らす

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□こんな感じに過ごしてます・・・

こんにちは 田村です。

東京に住む友人エミちゃんから「最近見た雑誌に載っていたイタリアンレストランが美味しそうなんだけど 場所が葉山なんだよっ♪」とメールが届きました。

そこは「イル・リフージョ・ハヤマ」さんと言って築百年ほどの木造の一軒家を改装した店舗で オーナーシェフ(渡辺明さん)はイタリアで3年半修行をしていて 美味しいと聞いていたので「行ってみたいなぁ~」と常々思っていたお店でした。

さっそく夕飯を食べに行こうと1月最後の日曜日 エミちゃんが1時間かけて電車でやって来た時には 葉山ではこの時期とても珍しい雪が降ってきました。

お店は 葉山美術館(神奈川県立近代美術館葉山館)の傍で 海にも近いのですが 住宅街を少し入った(少々)解りづらい場所にあります。寒さに震えながらも暗闇の中に 温かな光がもれたお店を見つけると 雪も舞ってなんとなくロマンチックな雰囲気に2人ともすっかりテンションが上がってしまいました。

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中に入ると 午後7時前ですがすでに満席でした。夏はとても賑わう葉山ですが 寒い冬はひっそりとして人出が少ないので飲食店さんは大変だときいていましたので 噂どおりとても人気があることが伺えました。

黒板に手書きされたメニューには「ふきのとうと白子と芝エビのフリット」「ウニとトマトのスパゲッティー」など シェフがその日に市場などで見つけたおすすめの食材を使った料理が並んでいて どれもとても美味しそうです。

シェフとそのフィアンセ(お店は彼女のおばあさまが住んでいらしたお家なんだそうです。)2人きりで切り盛りされているのでお料理が出てくるのに時間がかかるかな・・と思っていましたが テンポ良く 感じの良い接客をされていて 普段手厳しいエミちゃんが「味も雰囲気もとてもいいね♪」と満足していました。

築百年のお家と言う事ですが 大事に住まわれていたことが見受けられ 以前使われていたと思われる障子や欄間(らんま)・桐たんすなどがそのまま残っていて 改装の際つけられたステンドグラスやキッチンなどと 違和感なく納まっていました。

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寒さも感じずすっかり長居してしまった私たちを 帰り際シェフとフィアンセ(もう奥さまかも?)は 玄関まで出てきて「雪が降る寒い中 お越しいただいてありがとうございます。」と見送ってくださいました。

そのひと言が お店・お料理・接客に出ているんだなぁ~と 嬉しくもあり納得の夜でした。

イル・リフージョ・ハヤマさんの HPにも書かれていますが 来店の際は予め予約をおススメします。

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こんにちは、設計の田中です。

日々寒さが増し、先日葉山でも雪がチラつきました。
寒がりの僕が、大きな窓の前で外を眺めていられるのも断熱サッシのお蔭なんだなぁと改めて感じたので、今日はサッシの話を書こうと思います。

一言にサッシと言っても、サッシには沢山の種類や性能がありますので、今回は、サッシの歴史を振り返りながら長所と短所について整理してみたいと思います。

日本の住宅の窓では、障子や襖を創っていた建具職人が創る木製サッシが一般に普及していました。
大正時代に入ると、スチール製サッシが製作され、ビルや団地に多く採用されるようになったそうです。
昭和30年を過ぎたころ、スチール製サッシに代わって次第にアルミ製サッシが世に出回るようになりました。
水密製が高く、量販可能になったアルミ製サッシは木造の住宅でも一気に普及していくことになります。

しかしアルミ製サッシも完璧ではありませんでした。熱を伝えやすいアルミ製サッシは木製サッシと比較すると、冬の冷たい外気が伝わり安く、結露が起こりやすいため、建物を痛めてしまうのでした。

そのころ日本はバブル経済にまっしぐら、寒い地域から来た、見た目が可愛いい輸入サッシの人気が高まります。
上げ下げする窓や観音開きする両開きの木製や樹脂製のサッシは、誰もがアニメや映画で見たことあるサッシでした。

しかし、輸入サッシにも欠点はありました。梅雨や台風の来る日本で使うにはサッシと外壁の間の水密性に不安があり、取り付け方に知恵と工夫が必要だったのです。

そこで、日本のサッシメーカーは、輸入サッシのバラエティにとんだデザインを取り入れ、雨、風にも耐えられ、断熱性能の高いなアルミ製の断熱サッシを開発し、日本の気候風土にマッチした製品を創り始めています。
これからの更なる進化に期待したいところです。

さて、文中に出てきましたように、サッシには、○○サッシといったように沢山の枕詞で表現されるようになっています。
断熱サッシ、防音サッシ、気密サッシといった単に性能を表している場合もあれば、木製サッシ、アルミ製サッシ、樹脂製サッシなど、サッシの材質を表す場合、窓の開閉方式を表して引違いサッシ、辷出しサッシなどと表現する場合もあります。

そもそも、サッシとはガラスをはめ込む枠のことを意味していますので「断熱性能が高く、アルミで出来た引違いサッシ」は、断熱サッシでもあり、アルミ製サッシでもあり、引違いサッシでもあることになります。」

つまり、断熱サッシの中でもデザインや開閉方法は様々ですし引違いサッシの中からでも、材質や性能は選り取り見取りなのです。

子供のお絵かきでもわかる様に、窓は家の印象を大きく左右します。
内部からの印象だけで決めてしまうと、外は窓だらけになってしまったり、取り付け高さや種類を揃えすぎても、気にしなさ過ぎてバランスが悪くなります。

松匠創美では、様々なサッシの中から、色々な要因を考慮し時間をかけて開口部の計画をしています。
そこに、松匠創美らしさを感じていただけるととても嬉しいです。

設計:久保歩美・田中伸二
松匠創美の「家づくりの考え方

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□家づくりのことば・・

私(田村)が 事務所内で飛び交う会話の中に「今のは何だろう?」と思う建築用語が たくさんあります。
なんとなく聞き覚えのある言葉や 初めて耳にする言葉などをここで少し紹介したいとおもいます。

〇チリ

先日 映画『180° SOUTH/ワンエイティー・サウス』を 観てきました。

アウトドアブランド/パタゴニア(Patagonia)が製作した映画で 創業者のイヴォン・シュイナード氏と その友人ダグ・トンプソンズ氏(THE NORTH FACEの創業者)が まだ若かったころに南米のパタゴニアを旅したことを 冒険家ジェフ・ジョンソン氏が追体験するドキュメンタリーです。

映画を観ていて パタゴニアは南米のチリとアルゼンチン 両国にまたがるコロラド川以南の地域の総称だと言う事を知った時にそう言えば以前「チリ」という建築用語があると 仕事の合間に教えてもらった事を思い出したのです。

事務所のいたる所 そして私の家ににも チリという部分(納まり)はあるのですが「ここがそのチリだよ。」と 指で指示してもらっても「え? どこです??」と聞き返してしまうほど はじめは解りませんでした。

では一体どこ?なのかと言うと(目にしやすいところでは)ドアや窓の枠を 正面からでなく横から見てみると 壁面から枠が少し出ていて段差ができていると思います。

その段差の幅を「チリ」と言うそうです。

「確かに段差がっ!?」と2・3度示してもらって やっと解ったほどですが それでも幅をつけるのにはキチンとした意味があって木枠などの場合 壁面と同じ平面(ゾロ)にしてしまうと 木は空調によって動く(膨張したり縮んだり)ことがあるので 壁と枠の間がへ込んで すき間などが出来たりしてしまうんだそうです。

すき間ができれば 風が吹き込んで寒くなりますよね・・すき間が出来ないよう 木が動くことを考えて 幅を持たせてあると言う事です。

1cmほどの段差(他にも幅はあるそうです)ですが 名前も役割もしっかりあるんですね。

国のチリとは 1mmも関係のないお話ですが・・。

○散り(チリ)=柱と壁、窓枠と壁など、部材の接地面に10ミリ~15ミリのわずかな段差をつけた差幅の納まりのこと。

3分チリ=約10ミリ。4分チリ=約12ミリ。5分チリ=約15ミリの段差などがある。

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☆お付き合いいただきまして ありがとうございます☆

出会い・つながる・木の住まい
有限会社 松匠創美

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