■ 第58号 ■
■□・・―――――――――――――2011年10月26日
木の家を知る・建てる・暮らす
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□ 目次
【1】 こんな感じに過ごしています
【2】 「 耐力壁ジャパンカップ2011 」
【3】 家づくりのことば 「 カチ 」
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【1】 こんな感じに過ごしています
こんにちは 田村です。
マフィン(ビーグル犬)が家にやってきてから 海までの散歩に行くことが多くなりました。
と言うのも 海までは2キロほどの距離ですが 先代のブラウニー(黒ラブ)は おじいちゃんなうえにとっても太っていたため 長い時間歩くことができなかったのです。
犬と一緒でなくても行けるのでは?と思いますが “いつでもいける”と思うとなかなか足が運ばないもので・・それと 一人で歩くのも何となく淋しいと言うか 味気ない感じがするのです。
私が好きな一色海岸は 何度か紹介していますが御用邸がある海岸で そこまでの散歩コースの途中には 現在進行中の現場があります。
普段 私は現場に行くことはありませんので 少しづつ家が出来上がっていくのが見れるのが 密かな?楽しみになりました。
話が反れましたが 犬と一緒に散歩する楽しさは 行き帰りに出会う色々な種類の犬たち(飼い主さん)との交流です。もちろん 全ての人と会話をするわけではありませんが 犬同士が興味を示すと 飼い主同士も会話が弾みます。特に海岸に行くと 必ずと言っていいほど 犬のお仲間さん達がいて 初めは緊張しますが皆さんとてもフレンドリーなので すぐに仲良くなれるのです。
先日 海岸で知り合ったムーさん(ジャックラッセル)の飼い主さんは白髪のスラリとした紳士で 家がご近所だということで海から一緒に並んで帰ることになりました。
葉山の暮らしはどうですか・・などと話をしていくうちに 自然と「どこのお店は美味しい?」という話になりました。ちょうど夕飯の前だったので お腹が空いていたのかもしれません。何店か名前が挙がったなかで 2人の意見が一致したのが とんかつ「ししょうざん」さんです。
このお店は 葉山でも山側の奥にあって 景色などは特に「葉山らしさ」はないのですが 駐車場には県外ナンバーの車も多く停まっていたりしてわざわざ食べにくる人も多く また 地元のタクシー運転手さんもよくお昼ご飯を食べているのをみかけますので なかなかの人気店です。
私も何度か行っていますが 海と一緒で“いつでもいける”と思って暫く行っていなかったので ムーさんの飼い主さんに「カラッと揚がったとんかつはなかなか家では食べられないよね。」と言われた時には もう食ベに行く気満々になりました。
そして久々の「しょうざん」さん ヒレ串かつ定食を頼んでみました。
串にはお肉と玉ねぎが交互に刺されていて とてもボリュームがあり高く盛られた千切りキャベツの山に2本ものっています。中休みになるとお店のなかからトントン♪とリズムよく キャベツを千切りする包丁の音が聞こえてきますので キャベツがシャキシャキ美味しいわけが良く解ります。
その他 小皿にしらすが掛った大根おろしとお漬物 ご飯とおみそ汁が付いてきます。
正直私は完食できないほどのボリュームですが お隣の席にいた若くて上品な女性がぺろりと綺麗に食べ終えているのには驚きました。そして満足げに帰って行くのを見て 老若男女「美味しいプラスお腹が満たされる」のがここの人気の秘密なのだなぁと思いました。
あれ 海への散歩の楽しさの話はなんでしたっけ?とりあえずムーさんの飼い主さんに やっぱり美味しかったと報告しなくては!
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【2】 「 耐力壁ジャパンカップ2011 」
こんにちは、設計の田中です。
今、久保のブログでシリーズで更新していますのでご存知の方も多いと思いますが、先ごろ去年に引き続いて耐力壁ジャパンカップを見てきました。
今日は大会の流れと見所についてご紹介していきたいと思います。
大会の概要は(大会パンフレットより)、「実物大の木造耐力壁を組み立て、足元を固定した状態でどちらか一方の壁が破壊するまで、桁を互いに引き合わせて対戦させるイベントです。
一般公募16体によるトーナメント戦を行います。最後まで勝ち進んだ耐力壁には、トーナメント優勝杯が贈られます。
決勝トーナメント戦に勝ち進んだ耐力壁8体の中で、コストパフォーマンスを示す評点がもっとも高い耐力壁にはジャパンカップ優勝杯が贈られます。
出場する耐力壁は、与えられた条件を満たす仕様の範囲内で、さまざまに工夫されたオリジナルのものとします。」となっています。
大会は3日間で行われ。
予選1日目に8体分の施工時間計測と対戦を行い。
予選2日目も残りの8体分の施工時間計測と対戦を行います。
3日目が決勝となり、予選を勝ち抜いた8体によるトーナメント戦が行われます。
手順としては、
(1)材料の搬入(データシートとの照合)
(2)環境負荷費を算定するための重量計測
(3)施工、組立て(制限時間は1時間)
(4)プレゼンテーション(制限時間は5分)
(5)水平加力による対戦(耐力壁による綱引き)
(6)解体(時間を計測します)
さて、主役の耐力壁の考え方には、大きく別けて2つあります。
剛に造って外力に対してガッチリと耐える壁と、柔に造って外力をギシギシと吸収する壁です。
欧米では前者の考え方が一般的です。地震大国の日本の木造家屋は後者の考え方が一般的でした。
しかし、日本の建築基準法が、大きな地震や台風などの災害が起きる度に改正を加えられ、今では単純な部材で構成され構造計算が比較的に容易で、施工精度が影響しにくい前者の壁が日本でも一般的になっています。
一方で複雑な部材構成と大工技術を要する伝統的な建築の柔軟性、靭性に富んだつくりは、実験を重ね、再評価されて来ています。
過去の耐力壁ジャパンカップを振り帰ると、トーナメンを勝ち上がるために、強さを求めて剛な壁が圧倒的に多く参加していました。
また、大会を重ねるごとに少しづつレギュレーションも変更されて、金物に重量制限をしたり、今年は材料費の上限を設けたりすることで、徐々に釘や金物を使わない柔の壁を造るチームが増えて来ているようです。
そして、今年は決勝トーナメントに残った8チームの内、半分が伝統工法の壁を造るチームになりました。そのハイレベルな戦いは、法律で定められている最強の壁(5倍壁)の、そのまた5倍から10倍の強度で戦っています。
一緒に見に行った自動車好きな友人は、決められたレギュレーションの中で、強度、技術、経済性、リサイクル性が絡み合い優勝争いをしている様子を「まるでF1のようだ」と例え、僕は、金物でガチガチ派かギシギシの伝統派か、強さの追及か、実用性の探求か、といったポリシーとプライドの戦いが「Wカップサッカーの様だ」と思ったりしています。
久保のブログもいよいよ準決勝で、サッカーで言うところのブラジル対ドイツの対戦に入ります。
松匠創美としては、伝統的な工法で家を建てることが出来なくならないことを望んでいますので、今後も大会を応援していきたいと思います。
設計:久保歩美・田中伸二
松匠創美の「家づくりの考え方」 松匠創美の「丈夫な構造」
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【3】 家づくりのことば
私(田村)が 事務所内で飛び交う会話の中に「今のは何だろう?」と思う建築用語が たくさんあります。
なんとなく聞き覚えのある言葉や 初めて耳にする言葉などをここで少し紹介したいとおもいます。
○カチ
前回 建具や開口枠の縦・横の材料の角を斜め45度にカットした木口同士を接合する方法「留め」を紹介しました。
繰り返しになりますが 堅木でない無垢の場合は 木の動きがでるのでこの方法は後のズレが美しくないという事から 松匠創美では別の接合方法を使っています。
それを「勝ち」と言うそうです。勝ちには「縦勝ち・横勝ち」があって縦勝ちは 縦枠が横枠を挟み込むように接合した方法。その逆が横勝ちになるそうです。
横勝ちは木口が横から見える為 目に付きやすいのでほとんどが縦勝ちを使用しいるようです。そして 夏の湿気で木が膨らむことを考えて縦枠を横枠より広く幅を取って 横枠の木口がはみ出さないよう納めると動きがあっても 美しさが保たれるそうです。(横勝ちの場合は この逆をします。)
1ミリほどの段差ですが つけるかつけないかで美しさが変わってくるのには いつもながら細やかな仕事だと感心します。
私が初めて事務所にきた時 表現が下手で申し訳ないのですが・・素朴で落ちついた美しさがある空間だなぁと思いました でもそれがどうしてなのかは 壁の色・木の配置などくらいかとよくわかっていませんでした。ことばを勉強して 少しづつですが何が違うのかわかってきたように感じています。
○縦勝ち・たてかち(横勝ち・よこかち)
=縦材か横材のどちらかを優先させることを「勝ち」と呼ぶ。縦材を優先させ、横材の木口を縦材にぶつける納まりは「縦勝ち」。縦材と横材の見込みを変えることで木口を見せずに、美しく納めることが出来る。
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☆お付き合いいただきまして ありがとうございます☆
出会い・つながる・木の住まい
有限会社 松匠創美
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▲身近な写真と共にブログ更新中
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