松匠創美のメールマガジン「木の家を知る・建てる・暮らす」

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こんにちは。
葉山・逗子・鎌倉・湘南エリアで無垢の木で注文住宅を建ててきた工務店【松匠創美(まつしょうそうみ)】です。
今日の目次は下記です。どうぞ宜しくお願い致します。

【1】 こんな感じに過ごしています

【2】 「 屋根の話し つづき 」

【3】 家づくりのことば 「 モクザイとザイモク 」

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【1】 こんな感じに過ごしています

こんにちは 田村です。

今年も残りわずかとなりました。年明けに「今年の目標は!!」などと意気込んでいたのに・・・はて?肝心な目標はなんだったろうかなぁ。と今となっては思い出す事も出来ませんが 年明けを張り切ったのだから 年の瀬もそれなりに形にしなくてはと思い クリスマスの準備を始めました。

自宅はすでに母親が玄関先や庭などに リースやリボン・オーナメントなどを飾り付けしていて 私の入る余地がなかったので・・相方の家を飾る事にしました。

何から手を付けようかと考えていたら ベランダに寂しそうにぽつんと植木鉢が置かれていることに気が付きました。その鉢は この夏殺風景だったコンクリートむき出しのベランダに 友人に手伝ってもらってデッキを手造りした時に完成祝いにと その友人がプレゼントしてくれたものでした。

貰ったままで未だに何も植えていなかったので クリスマス仕様に寄せ植えしよう!と 近所のお花屋さんへ苗を選びに行ってみました。
そこは 近いのにまだ足を運んだことがなかったお花屋さんで「葉和屋」と書いて“はなや”さんと読むお店です。

店先には 赤や白のポインセチアやシクラメン、葉ボタンなど寄せ植えにピッタリな苗などが置かれていました。店内へと足を踏み入れると よくあるお花屋さんのように季節定番の切り花が沢山という様子ではなく 店主さんの好みで選ばれたセンスの良い 珍しいお花がいくつか並んでいました。

棚やテーブルには お花や鑑賞植物と一緒に飾ると素敵な小道具やアクセサリーがなどがあり その流れで店先をよく見てみると 海が近い土地柄なのか白く色落ちしている流木が何本か売られていて お花屋さんとなのか雑貨屋さんなのか?・・ちょっと迷うくらい不思議で楽しいお店でした。

気分も上がり苗を選ぶだけのつもりでしたが 壁に並んだクリスマスリースが素敵で気になってしまい一緒に購入しました。

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店主の女性は本当にお花が大好きなようで こちらから質問しなくても お花の特徴や寄せ植えをする際のアドバイス リースの保管の仕方など他にお客さんがいる中でも 丁寧に時間をかけてお話をしてくれました。とても感じのいい方で喜んでいたら お会計御に「こちらもどうぞ。」と一輪挿し用の小さな花束をプレゼントしてくれました。

一瞬ためらうと「切り花を剪定した時に出たものなので気にしないでくださいね。小さなお花ですがそれでも飾ると可愛いですよ。」・・と 売れるお花ではないけれど捨ててしまうのは可哀想だという店主さんの気持ちに グッと心を掴まれ「また必ずきます!」と威勢よくお礼を言って帰りました。

お花が大好きな店主さんの気持ちと お祝いにと鉢をプレゼントしてくれた友人の気持ちを忘れないうちに 買ってきたポインセチアと葉ボタンなどを植え終えて リースも玄関にしっかり飾り 花束も一輪挿しに活けました。
仕事から帰ってきた相方が早速にリースと鉢を見つけ 私が随分と張り切って頑張った事を(事情を知らないので)珍しい事が起きたと驚きながらも とても喜んでくれました。

葉和屋さん、友人のなべちゃんの気持ちのおかげです ありがとうございます。

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【2】「 屋根の話し つづき 」

こんにちは、設計の田中です。

前回、屋根について「印象に残りやすい」「形と名称」「地域性との関わり」などについて書きました。
今日は、昔と違って自由度が増した屋根のデザインをどの様にしていつも計画しているか紹介したいと思います。

打合せで必要な図面で、最低限必要と思われるが平面図と立面図、断面図です。
通常の打合せは、平面図を見ながら使い勝手やデザイン、暮らしをイメージして打合せを進めて行き、結果として家の形はどんなデザインになるのか立面図と断面図で確認をする。という感じで行われていると思います。立面図と断面図を見て、屋根の形を始めて認識する事も少なくないと思います。

家を計画する場合もまた平面計画(プラン)から考え始めます。
久保の場合パソコンは使わず鉛筆を走らせて、いくつもプランを作成して検討していますが、同時にスケッチで構造計画や内部空間や外観もチェックしています。クライアントの暮らしに合ったプランを考える一方で全体の事を考えながら進めていいるのです。

具体的には、屋根の場合は内部空間を大きく確保すれば建物は高くなります。建物は高くなると、高さ制限や耐力壁、採光面積の確保に影響が出ます。法律面をクリアする為に屋根高さを部分的に低くすれば、コスト高や雨漏れなどにも影響がありますし、梁の架けられる長さにも限界がありますので、自由な様で自由にはいきません。勿論、バランスの良いデザインになる事やご近所さんから見た印象なども常に念頭に置いておかなければなりません。

そうしてプランが出来上がると次に僕がパソコンを使って平面図を描き、次にスケッチを元にラフな立面図と断面図も描きます。
それらの事を具体的にチェックします。問題が無ければ、今度は久保と二人で調整に入ります。パソコンの画面上で屋根の角度を少しづつ変えながら、一番バランスの取れた形になるように調整します。角度だけではなく、軒の出や屋根の厚みも変えて何通りも作っていきます。
良いと思える形を見つけたら、ラフな模型を造って立体にして確認をします。模型だけでも何通りも作る場合もあります。

このように、普段から屋根には重点を置いて設計しているにも関わらず前回の冒頭で書いた様に、実家の屋根の葺替工事の時には屋根の形を正確に把握していなかった事にちょっと反省をしました。
いつも人知れず当たり前に雨風から暮らしを守っていてくれた屋根の疲れ果てた姿に感謝の気持ちも沸いてきて、屋根を葺き替えた時には屋根が喜んでいるようにも思いました。

愛される家づくりする為にも実家の屋根の葺替工事の経験は良かったなと思いますし、これからも沢山の検討を重ねて提案していきたいと思います。

設計:久保歩美・田中伸二
松匠創美の「家づくりの考え方

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【3】 家づくりのことば

私(田村)が、事務所内で飛び交う会話の中に「今のは何だろう?」と思う建築用語がたくさんあります。
なんとなく聞き覚えのある言葉や、初めて耳にする言葉などを、ここで少し紹介したいとおもいます。

○モクザイとザイモク

今回は このメルマガを読んで下さっている皆さんの為に・・というより私がどうしても気になってしまったことばなので 紹介させていただきました。建築学用語辞典(岩波書店)には 初歩的過ぎるのか記載されていませんでしたので ことばとして成立しないかもしれません・・予め了承下さい。

田村はそんなところからなのか?との声が聞こえてきそうですが・・・業者さんから時々 現場に直接ではなく 事務所に材料が届くことがあります。

それは金物類やタイル 住設機器の一部など色々で 大体は明細が付いてきますし パッケージを見れば商品名などがわかりますので○○が届きました。と伝えることができるのですが 柱などに使うと思われる長い木が届くと・・戸惑います。パッケージもありませんし 明細もついてないことがあるのです。

戸惑ったまま「木が届きました。」とはさすがに言えません。戸惑うと自信が無いので 小さな声でまごまごとごまかします。
「木材」と「材木」のどちらを言っていいのかわからなくなるのです。

でもいつまでもご誤魔化したままではいられませんので 思い切ってお昼時に どちらでしょうか?と恥ずかしながらも質問をしました。

すると「樹木を伐採した資材としての木は全般的に『木材』と言って、一般的に家を建てる時に使う材料としての木は『材木』と言いうよ。
だから、現場や事務所に届くのは材木だね。」と教えてくれました。(材木を売る)業者さんは「○○材木店」と言うでしょう とも付け加えてくれて「なるほどそうですよね!」と すっきり解決と思っていましたら「その中でも質の高い希少価値のある木を特別に『銘木』と言うんだけれど その銘木を扱っている業者さんは“□□木材店”と言って材木店とは差別化をしているところもあるんだよ。」・・・これはあくまでもその木材店さんから聞いた話なので・・と 全部がそうではないけれどと そういった例もあることを教えてくれました。

やはり違いを解っていなかったことと 普通には聞けない話も教えてもらえたので 思い切って聞いてよかったと思いました。

〇木材、材木・・銘木(メイボク)=
樹木を伐採した資材としての木は全般的に『木材』
一般的に家を建てる時に使う材料としての木は『材木』
*中でも、質の高い希少価値のある木は特別に『銘木』と言う。

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■ 第60号 ■

■□・・―――――――――――――2011年11月23日

木の家を知る・建てる・暮らす

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□ 目次

【1】 こんな感じに過ごしています

【2】 「屋根の話し」

【3】 家づくりのことば 「 ネイレ 」

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【1】 こんな感じに過ごしています

こんにちは 田村です。

事務所から歩いて2~3分のところにある風早橋バス停。
その目の前に今月11月11日に可愛くて素敵なお店ができました。

「ガラス、琺瑯(ホウロウ)、かご、古い家具、キリムなどの布類」などアンテークとまではいかないけれど 小さい頃家にあったなぁ・・と思いだすような家具や雑貨が並んだ道具屋「wakka」さんです。

オーナーのIさんとは 葉山で保護犬活動をしているKDP(神奈川ドックプロテクション)さんを通じて知り合いました。
Iさんのお宅には 先住犬1匹の他に保護犬が2匹とちいさなお子さんが3人居て・・それはもう毎日がお祭りのような賑やかさの様ですが日頃から大好きで集めていたかごやホウロウを扱うお店をずっと出してみたかったと聞きましたので お家の事も大変そうなのに夢を叶えるなんて素敵だなと思いました。

オープン初日は生憎のどしゃ降りの雨でしたが オメデトウが言いたくて仕事の帰り お店が閉まる寸前に雨でびしょびしょになりながらお邪魔をすると そんな私にひるむ事もなくIさんは笑顔で迎えてくれました。
「オメデトウ」を伝えたのも早々 可愛らしい商品を前に興奮してしまい 目があちらこちらに行って落ち着きませんでしたが(笑)しばらくして目が慣れてくると 天井がとても高いことに気が付きました。

古い建物なので年季の入った色の梁が見えます。 Iさんに聞くと旦那さまが 低い天井の天板を取外したのだそうです。その効果あって ゆったりとして居心地のいいお店になったということです。また梁や柱が見えることで 並んでいる古い家具や器などがとてもしっくり合っていました。渋いなかにも キリムのクッションやラグ ホウロウの赤や緑の食器などがアクセントになって Iさんのセンスの良さを感じます。

アンティークや古道具はお値段が張るイメージですが Wakkaさんは ちいさな子供でも買えるモノが沢山ありました。
私も さっそくホウロウのお皿とカップをセットで頂きました♪

wakka1

震災後 葉山でも移転や閉店するお店がいくつかあり 少し寂しい時でしたので 心が温かくなる素敵なお店を開いてくれたIさんには 本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
「またきたの・・。」と呆れられない程度に顔を出そうと思っています。

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【2】 「屋根の話し」

こんにちは設計の田中です。

久保がブログで書いた様に、今、築30年以上経った実家の屋根の葺き替え工事をしています。
9月末の台風で屋根の一部が破損してしまい、これを機に屋根を全面葺き替える事にしました。
実家の屋根は今でも珍しいくらいの急勾配の屋根で印象的なデザインですが、実際に工事が始まり屋根の上に登って見ると屋根の形をちゃんと知らなかった事に気付かされました。
今日から2回に渡って印象に残り安い反面、意外にもちゃんと見ていない屋根について書いていこうと思います。
今回は、屋根の話し。次回は、屋根の設計です。

見ている様で、見ていな無かったと書きましたが、逆に言えばちゃんと見ていなくても印象に残るのが屋根です。
幼い子供に家の絵を描かせるとギリシャの子供は四角い箱を並べ、日本の子供は屋根を三角に描き、寒い地域の子供は屋根の上に煙突を描くと言います。

屋根は暮らしを守る大事な部分ですので、気候や文化、地域性が顕著に現れ印象に残りやすいのかも知れません。

屋根の形には一つ一つ名称が付けられています。
一番単純な三角の屋根は切妻(きりづま)屋根。
入母屋(いりもや)屋根は、日本らしい形状の一つで誰もが一度は目にしたことがあると思います。
牧場に良く見られるのは腰折れ屋根。真平らな屋根にも名前があって陸(ろく)屋根と呼びます。

その他にも、寄棟(よせむね)屋根、方形(ほうぎょう)屋根、片流れ屋根、招き屋根などいくつもの名前があります。

一見、統一感が感じられる古いまち並みでも、同じ形の家は2軒とありません。
その統一感、特に遠景の時に大きく関わってくるのが屋根の仕上げ材です。
その地域で採取しやすく、製造しやすいものが屋根材として選ばれ、屋根材の種類と降水量によって屋根の勾配が決まります。
結果、白川郷や金沢のような景色ができあがりるのです。

仕上げ材は、時代と共にどんどん豊富になって屋根の角度も様々にります。
茅葺屋根から瓦の屋根に変わり屋根の角度は少し緩くなり、鉄板の屋根では更に緩い角度まで可能になります。
今では様々な屋根材がありますが、それぞれの材に適した屋根の勾配がちゃんと決まっているのです。

松匠創美では、まちの景色の一部になり、いつしか地域の定番になる家づくりを心がけています。
屋根の材料や角度が自由になった今だからこそ、屋根の設計では何度も何度も検討を重ねます。
しかし、その検討する項目も外観だけではなく、内観や機能、法律、近隣と関わることが多く互いに影響しあいます。
次回は、そんな屋根の設計についてご紹介します。

設計:久保歩美・田中伸二
松匠創美の「家づくりの考え方

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【3】 家づくりのことば 「  」

私(田村)が 事務所内で飛び交う会話の中に「今のは何だろう?」と思う建築用語が たくさんあります。
なんとなく聞き覚えのある言葉や 初めて耳にする言葉などをここで少し紹介したいとおもいます。

○ネイレ

前回紹介しました「根切り」の次に来るのがこの「ネイレ」です。

パソコンに「ねいれ」と打ち込むと値入と一番に表記されます。根切りを聞いた時に 値切り=値切ることだと思った旨を書きましたら 久保が「あっそうだよね、それもあったんだ」と 笑いながら驚いたので あたり前の事だと思ったことが逆だったので 私も驚きました。
そして それほど基礎を作る事は 家づくりにはとても大切な工程なんだということも感じました。

ネイレとは「根入れ」と書きます。地盤を掘削する根切りをした後に 基礎が地中に埋まる部分が根入れとなります。

家の基礎は地面のうえに直接つくると弱い・・という事を前回お話したように 基礎の1部分は地中に埋めて ズレや傾きを軽減させます。私はその根切りした面を見たことがなかったので きっと綺麗に平らな状態を作っていると思っていましたら 実はいくつかの凹凸した部分がある事を知り また驚きました。

それは 基礎の一部分を根入れする事でズレなどに強くなりますがさらに引っかかりを設けることで 強度がずっと上がるのだと教えてもらいました。

これは私の解釈ですが 同じ根と書く植物の「根」も 1本よりも数おおくあるほうが地に強く根付きますから 家の根の部分の基礎も 引っかかりを多くすることで しっかりとした物になるのだと思いました。

松匠創美のウェブページに「丈夫な構造」というコンテンツがありますので そちらを見ていただくと 地盤や基礎の大切さがもっとわかっていただけると思います。

○根入れ
=基礎や杭を土中に入れること。 とくに、直接基礎にあっては地表面からさらに深くまで設ける こと。
「建築用語辞典・岩波書店」より

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☆お付き合いいただきまして ありがとうございます☆

出会い・つながる・木の住まい
有限会社 松匠創美

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Copyright (C) 2011 松匠創美 All rights reserved.

■ 第59号 ■
■□・・―――――――――――――2011年11月09日

木の家を知る・建てる・暮らす

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□ 目次

【1】 こんな感じに過ごしています

【2】  壁と柱の「直下率」と「架構診断シート」

【3】 家づくりのことば 「 ネギリ 」

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【1】 こんな感じに過ごしています

こんにちは 田村です。

何度か紹介させていただいている 葉山の「ARAHABAKI」さんから可愛らしい封筒が届きました。中には“この度、念願だった「食事をする場所+α 」を行うお店をオープンすることになりました。”というお手紙が入っています。

海を望む山の中腹にあるお店はギャラリーになっていて オーナーご夫婦が全国各地の作家さんたちからすてきな作品を集めては 月に1度 一週間ほどのペースで展示と販売を行っています。
展示期間以外はお店が閉まっているので その空いた時間を利用してカフェでも始めるのかしら?と思って手紙を読み進むと・・・“場所は横浜の海岸通りに面した、象の鼻パーク入口に佇む 昭和6年頃竣工のおじいさんビルの二階です。”とありました。

お馴染さんの多い葉山では無く 横浜のみなとみらいという場所で始める事の原動力にちょっとびっくりしましたが どんなお店になっているのかわくわくして 夕飯時に出かけてみました。

近くの駐車場に車を停めると 横浜港の夜景が広がっていて目の前の大さん橋にはとても大きな客船が泊まっていました。
葉山の港にもヨットがいくつも停泊していますし 遠くには江の島灯台の明りなども見えますが 東京湾側にある横浜のように客船や貨物船がこんなに近くで観れることも 夜景(明り)の迫力もありません。同じ神奈川県の港なのにこんなに景色が変わるのだなと 暫く見とれてしまいましたが お腹が鳴って我にかえりお店を目指しました。

公園の本当に目の前にあるビルの入り口には 店名“Charan Paulin ”(チャラン・ポラン)(2017年で閉店)と書かれた黒い鉄製の大きな看板と2階へ続く階段が現れました。昭和6年頃竣工とあるように歴史を感じずにはいられないその場所に足を入れると 小学生の頃の校舎の階段を上がっているような懐かしい感覚に包まれました。

お店には オーナーのかのさんがいて「遠い処をありがとう」と喜んで迎い入れてくれ うすーく青みのかかった白い壁と木の床の店内は なんでもお店の契約と開店までの間が短すぎて オーナー夫婦自らペンキを塗ったりと内装工事を頑張ったと 笑いながらも苦労した事を話してくれました。

突貫工事だったとは感じさせない素敵な内装には 葉山のお店でもみかけたことのある作家さんの作品がいくつか並んでいて 窓の外に目を向けると ベイブリッジやさきほどの客船が観えます。全てが不思議なほどに相性が良く 一瞬でお店が好きになっていました。

そしてお料理の方は「京都生まれの和の料理職人」こまさんが作る「産地にこだわった新鮮な 海の幸・山の幸を、伝統的な日本食をベースに異国のエッセンスをちりばめたお料理」となっていました。
こまさんに会うのは初めてで 見た目にお年も若そうで 近所にいる気のいいお兄さんという感じから料理の経験は・・と勘ぐりましたが運ばれてきたお皿の上の 繊細で色鮮やかなおかずを口にしたとたん 目にも舌にもあまりに美味しくて ただただ「うんうん」と頷くばかりでした。一緒に行った相方も 隣りで同じ様に「うんうん」と。

arahabaki

日頃からオーナー夫婦のセンスに憧れていましたが このお店の「立地・建物・内装・料理」どれも素敵で いい勉強といい時間を過ごすことができました。

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【2】壁と柱の「直下率」と「架構診断シート」

こんにちは、設計の田中です。

昨日、久保と一緒に木造住宅デザイン研究会ユア・ホームの講習会に行ってきました。
僕は、この研究会のやっている活動がとても良い方向性だと感じたので、今日はその事について書きたいと思います。

元々、木の家づくりは大工の棟梁が手刻みで柱や梁の接合部を加工し、現場に運んできて組み立てる方法が取られてきました。
現在では工業化や分業化が進み、大工が加工していた工程をプレカット工場と呼ばれる工場で加工することが全体の80パーセントを締め、極一般的なものになりました。
木造住宅デザイン研究会ユア・ホームでは、プレカット工場と建築士事務所の技術者・設計者などが集まり、現代における木造住宅の新たな設計基準と設計システムの開発、人材育成を目指している研究会です。

木造住宅デザイン研究会ユア・ホームの主な活動は、
1、プレカット工場と工務店が連携して行う、設計品質担保の仕組づくりに関する事業。
2、プレカット工場を拠点とする木のまち・木のいえ担い手育成と木造住宅検定の実施。
3、プレカットを用いた木造軸組工法住宅の構造実態調査。

昨年木造住宅検定3級を取得した久保は、3のプレカットを用いた木造軸組工法住宅の構造実態調査のデザインレビューと呼ばれる作業のお手伝いをしています。

住宅建築デザインの多様化、プレカット工場の技術進歩により、設計者が構造計画をプレカット工場に任せてしまう例が少なくありません。
デザインレビューでは、そうして実際に建てられている構造的検証の足りていない建物の壁や柱の位置を「直下率」と「架構診断シート」を用いて調査することで、機能を損なわず、構造的に安定する計画にブラッシュアップする方法は無かったのだろうかと、住宅設計者、架構設計者、構造設計者と学生で調査票を作成しデータ化し分析ししています。

2階と1階の壁や柱の位置が上下で重なっている率を算出してチェックする「直下率」と「架構診断シート」は、とても短時間でチェックできる上に膨大なデータに裏づけされた安全基準が信頼できるので、松匠創美でも数年前から使わせて頂いています。

講習会の後、ユア・ホームの正会員の方から色々なお話しを聞かせて頂く機会を得ることが出来ました。
その方から、実際に住む人あっての住宅なので構造計画だけを最優先にする訳に行かないけれども、計画された建物の構造的な弱点を理解し、その弱点に対してどのような対策を取るかが大事だと教わり、対策方法についてもお話を伺えました。

「直下率」と「架構診断シート」を使ってチェックしておくと構造的にもデザイン的にも無駄が少なくなり、コストにも反映してきます。
機能と構造とデザインとコスト。バランスの良い木造住宅の設計をこれからも心がけていきたいと思います。

設計:久保歩美・田中伸二
松匠創美の「家づくりの考え方

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【3】 家づくりのことば

私(田村)が、事務所内で飛び交う会話の中に「今のは何だろう?」と思う建築用語がたくさんあります。
なんとなく聞き覚えのある言葉や、初めて耳にする言葉などを、ここで少し紹介したいとおもいます。

○ネギリ

上で説明しているように 事務所内の会話(打合せ)で気になる建築用語(ことば)をここで紹介しています。 働き始めの頃は 聞きなれないことばが多くて「???」と敏感に反応していましたが ここのところ 感覚が衰えてきたのか・・そういう会話に慣れてしまったのか 耳にひっかかることが少なくなってきました。

昨日 久保が業者さんと電話で話をしている時 突然田中が「ネギリってわかる?」と聞いてきました。「へっ?」と答えると「今 ネギリの事を電話で話しているでしょ。」と言うのです。
久保の声に耳を傾けると 確かに「ネギリ」とか「ネギル」と言っていました。

値切り・・なら日常会話で聞くことばですし 聞き流してしまうのも仕方がないとおもいますが イヤイヤさすがにそれを質問しないだろうと冷静に「わかりません。」と降参しました。(自分の知っている「値切り」でないのであれば)どういう意味なのでしょう?と聞くと 折角だから調べてみたら?と。

そこで建築学用語辞典を開くと「根切り」と出てきました。意味は「基礎を構築するために地盤を掘削」ということです。田中が聞いて
きたのはこのことだと思いましたが 辞書の説明がさっぱりしすぎですし 文字からも理解ができませんでした。

電話直後の久保に もっと簡単に解りやすく教えて下さいと 聞いてみましたら「家の基礎は地面のうえに直接つくると弱いので 一部を地盤に埋まるように作り その埋める部分を堀り削って作業ができるようにすることだよ。」と図解してくれました。
ただし「根切り」だけで基礎のキソができるわけではないと言う事も教えてもらいました。(それはまた次回に。)

地盤の状況により掘削する深さも変わるそうですから「いやぁ 我が家を建てる時 だいぶネギッタよ。」なんていう会話が聞こえてきたら「根切り」か「値切り」なのか確認したほうがいいかもしれませんね(笑)

〇根切り(根伐り)=構造物の基礎あるいは地下部分を構築するために行なう地盤の掘削。

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☆お付き合いいただきまして ありがとうございます☆

出会い・つながる・木の住まい
有限会社 松匠創美

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