暖かい家に生まれ変った民家
神奈川県三浦郡葉山町
ご主人は、寒いところの出身で、趣味のウィンドサーフィンと子育ての為に、もうすぐ生まれる2人目の子を合わせて親子4人での葉山移住計画でした。
最初に電話で連絡を頂いた時の内容は、「購入した古い平屋建ての家を直したいので見て欲しい」でした。
すこし急いでいる様子だったので、早速、次の週末にお会いすることにしました。
建物は、築80年の民家で、古い部分は比較的手の入っていない状態で、見た目は綺麗でしたが雨漏れなど直す部分は多い家でした。
ご相談内容としては、冬でも、室内ではTシャツ、短パンで暮らしたい。
地震が心配なので対策をとりたい。
また、ニセモノ部分を撤去して、ホンモノを使って直して欲しいという事でした。
計画に先立ってまずは、築年数がかなり経っている建物ですので、解体工事を進めさせていただき、床下や、天井裏の状態を確認した上で、断熱と耐震の改修方法を決定していくことにしました。
屋根は瓦屋根、下地はトントン葺きという古い工法のため、劣化が進んでいて雨漏れをしていた痕跡が見られましたので、瓦を全て外し、防水処理をしなおし、断熱材を入れました。
割れていた瓦は新しい瓦に交換しながら葺きなおしました。
外壁は、購入前のリフォームで施されていた工業製品を撤去し、断熱材を充填した後に、無垢の木で仕上ていきました。
窓も、全てペアガラスの新しい断熱サッシに交換しました。
畳の床は、新たに断熱材と床暖房を施し、無垢のフローリングに貼替えました。もともと無垢のフローリングだった部分は、その味を活かし床下から床暖房を施行しました。
間取りは、重い屋根という事もあり、柱や壁に手を加えたことでバランスを崩すことが危険視されましたので、柱や壁は撤去せずに、間仕切り壁を追加していく計画でまとめていく事にしました。
キッチンと食器棚、洗面化粧台家具も全てオリジナルで製作し設置させていただきました。
元々は隙間の多い古民家のリフォームでしたが、とても暖かい家になりました。
ご主人も、流石にTシャツ、短パンという訳にはいかない様でしたが、それに、薄でのシャツを一枚羽織る程度で暮らせたので、とても喜んでくれている様でした。
設計:久保歩美・田中伸二
建設地:神奈川県三浦郡葉山町
家族構成:夫妻+子供2人
工事種別:改修
工事面積:95.09㎡
竣工:2009年