乗務員室のある家 ー長期優良住宅ー

神奈川県横浜市

鎌倉・逗子・葉山と生活圏が近い横浜市の南部に建てさせて頂いた長期優良住宅「乗務員室のある家」の施工例とストーリーをご紹介します。

クライアントから初めてご連絡頂いたのは2010年の事でした。ショールームを見学して頂き、松匠創美の家づくりについてお話をしました。それから4年後、うれしい事にいよいよ建て替えることにしましたとの事でご連絡を頂きました。計画地は50年程前に大規模開発された住宅街の一角。東と北に道路が接している南側斜面の日当たりも風通しも良い場所でした。中古で買われてから住まわれていた家を解体しての新築計画です。

計画を始める前に、クライアントからご要望が書きだされたリストをいただきまして、そのご要望を元に計画を練らせて頂きました。1案目の計画を気にいって頂き、そのまま詰めた打合せを進めて行くことになりました。打合せでは、家のテーマとなっている、ご主人の鉄道コレクションの飾り方や保管の仕方について、造作するものについては本物を視察しながら進めて行きました。

こうして完成した家は大人の遊び心満載の家です。北側の玄関から入り、風除室となっているホールを抜け、リビングに入ると、正面に懐かしい電車のBOX席が固定されています。椅子の一つは当時の本物の椅子で、シートの生地だけ貼り替えさせて頂きました。もう一脚は家具として新しく作らせて頂きました。白い壁で仕上がったリビングの真ん中にあるBOX席の横の壁だけは板貼とさせて頂き、窓は2連の上げ下げ窓、網棚はご主人のコレクションを取り付けました。このBOX席の再現に当たっては、ご主人のお手持ち資料、鉄道博物館への視察、実物の採寸を行いながら行いました。BOX席の東側がダイニング、その横にキッチン、キッチンの奥に食品庫となっています。鉄道趣味のお友達が集まった時は楽しくお食事をされたと聞いています。リビングの横には、お母様のお部屋があり、その北側には、最初に頂いたご要望のレイアウトのお風呂、洗面、トイレがあります。2階に上がると、BOX席上部吹抜けに面したホールです。吹抜手摺には電車のヘッドマークが取り付けてあります。この手摺も電車のデザインを取り入れました。ホールの西側がご夫妻それぞれの趣味の部屋です。この入口の建具のガラスには乗務員室の文字が書かれています。このガラスも本物のコレクションを嵌め込みました。ご夫妻それぞれの趣味に合わせ、棚やパイプやコレクションBOXを取り付けさせて頂きました。更にロフトに上がると、コレクション収納と趣味の展示スペースとなっています。

屋外も鉄道関係をモチーフしたもので造りました。フェンスは線路敷きにある境界フェンスを参考に、カーポートも昔の木造駅舎を参考に計画しました。

これほど、家中が鉄道趣味に溢れた家なのですが、乗務員室となっているご夫妻の趣味室は、それぞれの好きに出来る部屋という事ですので、とても面白い家だと思います。また、その後の展示が変わっていくのも気になって仕方ありません。

 建設地:神奈川県横浜市
家族構成:ご夫婦+ご祖母
工事種別:新築
工事面積:96.59㎡