家の断熱性がわかるUA値とは?Q値やC値とメリットについて

2024/5/27

住宅購入情報を見ていると、UA値という用語を見かけます。しかし、パンフレットや資料には、UA値に関する詳細が記載されていない場合が多く、住宅購入にどのように関係するのかご不明な方も多いでしょう。

UA値は、快適な住まいを実現するために参考にする数値であり、とても重要なものです。そこで今回は、UA値の基本的なことから、UA値と同じく注目するべき断熱性について、詳しく解説します。

また、UA値が低いと光熱費が抑えられる、結露やカビを抑えられるなどメリットも紹介しています。これから住宅購入を検討する方は、本記事のUA値に関する知識を住宅設計に活かしましょう。

断熱性を示すUA値について

住宅購入に関する資料を見る際に必ず目にする、断熱性をあらわすUA値について詳しく紹介します。UA値とは何か、どのように計算するのかを確認しましょう。また、断熱性能を重視する理由についても整理します。

そもそもUA値とは

UA値とは、外皮平均熱貫流率のことです。外皮は屋根・外壁・床・窓・ドアなど、建物の表面を指し、住宅内の熱はこれらの外皮を通して外に排出されます。UA値は、住宅内の熱がどれだけ逃げやすいかを数値化したものです。

UA値は大きいほど断熱性が低く、熱が外に逃げやすいことを意味し、小さいほど断熱性が高く、熱が外に逃げにくいことを意味します。

UA値の計算方法

UA値は、
「UA値(w/㎡・k)=建物の熱損失量の合計(w/k)÷外皮面積(㎡)」
で求められます。

住宅の熱損失量の合計は、外皮の熱損失量をすべて合計したものです。

外壁の熱損失量は、
「外壁のU値×外壁の面積×温度差係数」
で計算できます。U値とは、熱量をどれだけ通すかを表した数値です。

UA値は熱損失量を減らすと低くなり、断熱性が高くなります。熱損失量が多くなる場合は、減らすための対策をしましょう。

UA値は住宅完成後だけでなく、間取りを考える設計の段階でも計算が可能です。UA値は断熱性能と関わりがあるため、設計段階で希望する間取りにおけるUA値の把握は欠かせません。

このように、UA値の計算は複雑で、熱損失量を減らす対策もプロのアドバイスが必要です。UA値の計算や対策は、施工会社や専門業者などにお願いしましょう。

住宅の断熱性能が重要な理由

住宅の断熱性能が重要なのは、住みやすさに直結するからです。断熱性能が高いと、夏は外の熱い外気が入りにくい、冬は室内の暖かい熱が外に逃げにくいメリットがあります。

反対に断熱性が低いと、室内にいても外気温の影響を受けやすく、室内温度を保つために光熱費がかかってしまいます。このように、断熱性能は室内で快適に過ごすためや光熱費を抑えるためには、とても重要なポイントです。

また、断熱性が高い家は外気の影響を受けにくい点から、災害時の対策にもなります。停電になったときでもしばらくは室温を保てるため、寒さから身を守ることも可能です。

断熱等級とUA値の関係

断熱等級とは、国土交通省が定めた住宅の品質確保のための「品確法」で規定された、断熱の基準です。耐熱等級は、UA値を断熱基準に組み込んで定められています。

断熱等級はUA値であらわされる

断熱等級は1から7まであり、等級が上になるほど断熱性能が高くなっており、UA値と冷房期の平均日射熱取得率であらわされます。断熱等級の基準になるどちらの値も、地域によって異なるため、住んでいる地域区分の基準値を参考にしましょう。

ここからは、8つに分かれる地域のなかでも一番該当区分の大きい、地域区分6(東京23区・大阪など)を例に解説します。

断熱等級7の場合、地域区分6のUA値は0.26以下で、省エネ基準の適合をクリアすると判断されます。このことから、断熱等級7をクリアした住宅を建てる場合は、UA値を0.26以下に抑えなければいけません。

このように、住宅を建てる際は、求める断熱等級をあらかじめ決めておき、条件をクリアできるよう設計する必要があります。冷暖房のエネルギー消費量を抑えるまでの効果を求めるなら、等級6・7で設定しましょう。等級6で約30%、等級7で約40%削減できます。

また、等級6・7は地球温暖化対策にも効果的です。等級は、大きいほど高い省エネ効果が期待できます。

地球温暖化やエネルギー消費量対策のために、2019年に発足した組織であるHEAT20では、UA値0.26〜0.46を推奨しています。等級6・7であれば、HEAT20の推奨値もクリアするレベルです。

Q値とC値とは

UA値と同じように、住宅購入に関する資料でも記載されている、Q値とC値について解説します。UA値とQ値の違いも確認しましょう。

Q値

Q値とは熱損失係数のことで、住宅全体の熱がどれくらい外へ出るかをあらわしたものです。値が小さいほど熱が逃げにくく、断熱性が高くなります。UA値も同じく、熱がどれくらい逃げるかを数値にしたものですが、UA値との違いは、換気による熱損失も含むところです。

UA値は外皮面積を使って計算しますが、Q値は延べ床面積を使って計算します。よって、延べ床面積が大きいほどQ値が小さくなり、断熱性が高いことになります。

しかし、この計算では断熱性能を測る正確さに欠けるため、省エネ基準の改正から、UA値を利用して断熱性能を判断するようになりました。よって、現在ではQ値を用いて計算することはほとんどありません。

C値

C値とは相当すき間面積のことで、住宅にどれくらいのすき間があるかを数値化したものです。値が小さいほどすき間が少なく、気密性が高くなります。

気密性が高いほど室内の空気が外に流れにくくなるため、暑い夏はエアコンの冷気が外へ逃げにくく、寒い冬は外の冷たい空気が侵入しにくくなります。

C値は気密性に関する値のため、断熱性能とは直接の関係はありません。しかし、どちらも室内を快適に保つことに役立ち、省エネ対策になるため、UA値と同様に注目しましょう。

UA値と断熱性能について

UA値を抑えて断熱性能の高い住宅を建てるポイントは、ZEHをクリアする・断熱材にこだわる、の2点です。それぞれのポイントを詳しく解説します。

基本的にはZEHをクリアする

UA値を考える際に、まずはZEH基準を確認し、クリアする住宅を建てるよう計画しましょう。ZEHとは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(Net Zero Energy House)」の略で、一次エネルギー消費量がゼロもしくはマイナスの住宅を示します。

一次エネルギー消費量を抑えるとCO2排出量削減にもつながるため、国も住宅を建てる際の基準にするよう推奨しています。

ZEHをクリアするには、太陽光発電などによる再生可能エネルギーによって、一次エネルギーの消費量より高い創電力を目指す必要があります。また、省エネの観点から高い断熱性・機密性を兼ね備えているため、長期的にみると経済的な住宅仕様であるといえます。

さらに健康面のメリットもあり、室温を保ちやすいため、室内では気候の変化によるストレスを感じにくく、ヒートショック対策にも効果的です。

ZEHをクリアするためには、先述のとおり、太陽光発電の導入が条件です。初期費用はかかりますが、電気の消費量よりも発電量が上回れば、売電による収入が得られます。また、蓄電しておけば停電時に利用できるため、防災対策にもなります。

日照時間などの関係で太陽光発電が十分に行えない地域の方は、Nearly ZEHのクリアを検討しましょう。Nearly ZEHとは、一次エネルギー消費量がゼロもしくはマイナスの状態を目指すZEHに対して、一次エネルギー消費量が極力ゼロに近づくよう設計された住宅仕様です。

Nearly ZEHの正式な定義は、1年間の一次エネルギー消費量を75%以上削減できる住宅と定められています。また、Nearly ZEHの対象地域は、北海道や東北などの寒冷地や多雪地域のほか、特定の低日照地域となっています。

松匠創美はNearly ZEH相当の性能をクリアした家づくりをしており、快適で住みやすい省エネルギーな住宅を提供しています。

断熱材にこだわる

断熱性能を高めるには、断熱材にこだわりましょう。とくに屋根は、日差しを一番浴びるため、断熱材を壁より厚くするか、高性能な断熱材を使用するのがおすすめです。屋根の断熱材で、室内の涼しさが大きく変わります。

また、床の断熱材は、寒い冬の底冷え対策に欠かせません。寒い空気は足元に溜まるため、床の断熱材も重要です。

松匠創美は、使用する断熱材にもこだわりがあります。床下の断熱材には、高い断熱効果と吸湿効果に優れたセルロースファイバー を使用しているため、足元からすき間なく断熱できます。

また、セルロースファイバーは主に新聞紙をリサイクルして作られており、環境にも優しい特徴があります。紙を使用していながら、難燃性のある薬剤が配合されていることにより、優れた防火性能を誇る点も住宅の安全性を高めます。

UA値が低い住宅のメリット

UA値が低い住宅のメリットを紹介します。

結露やカビを抑えられる

UA値が低いと結露が発生しにくくなるため、カビの発生を抑えられます。結露は室内の暖かい空気が外気によって冷やされて起こります。結露の放置は、カビやダニの発生原因のひとつです。UA値が低いと暖かい空気が外に流れにくいため、結露が起きくいです。

家の中の温度差が少なくなる

UA値が低い住宅は、住宅全体の温度が一定に保ちやすいため、ヒートショック予防に効果的です。ヒートショックは暖かいリビングから寒い浴室に移動したときなどに起こりやすく、高齢者の死亡事故にもつながります。

3世代住宅を建てる場合は室内の温度差についても考慮し、UA値の低い家づくりを目指しましょう。

冷暖房の費用を節約できる

UA値が低く断熱性の高い住宅は外気の影響を受けにくいため、冷暖房の費用を抑えられます。UA値が低いと熱損失量が少ないため、通常よりも少ない電力で冷暖房の運転を続けられます。

また、外出する時間よりも前に冷暖房を消してもしばらくは室温が保たれるため、稼働時間を減らすことも可能です。

まとめ

UA値とは外皮平均熱貫流率のことで、住宅内の熱がどれだけ逃げやすいかを数値化したものです。UA値が低いほど断熱性が高く、熱が外に逃げにくいことを意味します。

断熱性が高いと外気の影響を受けにくいため、暑い夏は室内の冷気が外へ逃げにくく、寒い冬は外からの冷たい空気の侵入を防いでくれます。住宅を建てる際は、UA値の低さと断熱性の高さを意識しましょう。

快適な居住空間を作るなら、Nearly ZEH相当の性能をクリアし、断熱材にこだわるのがおすすめです。太陽光発電をプラスすることでZEH、またはNearly ZEHの条件をクリアできる性能の住まいは、省エネルギーで快適な暮らしをもたらすでしょう。

松匠創美では、Nearly ZEH相当の性能の家づくりを行っています。また、断熱材にもこだわっており、UA値の細かい相談も承っています。断熱性能にこだわった家づくりを目指すなら、ぜひ松匠創美にお任せください。