久保歩美インタビュー

出会いがつなぐ縁

私たちの出会いから大切にしていることなどを、私たちと同じように葉山を愛し、ビジネスの世界にJOYとWOWを広めている阪本啓一氏にインタビューしていただきました。それぞれの思いやお互いのつながりなどご覧ください。
※ 文字色の黒は阪本氏、地の色(茶)は久保の発言です。

田中さんとはベストなタイミングで出会っていらっしゃると感じるのですが、いかがですか? 田中のインタビューへ ≫

今まで肩肘張って、自分を見せないようにやってきたんですよね。田中はそういうのがないじゃないですか。ゆるんでいるというか。
自然と私の隙間に入ってきたんです。何かそういう要素が彼にはあるように思いますね。

分かります。本当にペットのような要素があるというか(笑)。

私の世代は、ちょうど男女雇用機会均等法が出来たばかりの就職だったこともあって、なめられないように、ばかにされないようにという気持ちでやってきていましたから。特にこの業界は男性が多いですからね。

この仕事に入ったきっかけを聞かせてください。

大学では絵の勉強をしていました。ただ、大学を卒業するにあたって、私は「画家になるために貧乏をしながら絵を描き続けるだけの情熱はないな」と思って、業界紙のデザイン室へ就職したんです。卒業記念に個展をやりました。自分の作品に囲まれてボーっとしていたら、

「この作品を気持ちいい空間に飾っていただけたらどんなに素敵だろう?」と考えたのが、

思えば、設計士という今の仕事に至っているきっかけですね。実は油絵を描くという作業の時、自分の頭の中が3次元だということに気が付きました。仕事で、グラフィックという作業になった時に、当時私が担当していた内容は、あくまでも2次元の世界でしかなかったので、新人の私はギャップを感じて、楽しくないなと思ってしまったんです。神経的にも参ってしまって。

松田と出会う

画廊の経験を生かして、インテリアコーディネーターのスクールに通い始めました。就職先をそこで紹介してもらえて、そのスクールに通いながら、店舗の内装をやっている会社に就職しました。ここで松田と知り合いました。
真冬でもビーチサンダルを履いていて、髪の毛はお尻のあたりまであったんですよ(笑)。ビートジェネレーションが好きだったし、そんな彼に好意をもっていて、いいないいなと言っていたら、職人さんたちがくっつけてくれたという感じです(笑)。

バブル絶頂期で、高い素材を使うのは楽しかったのですが、崩壊後は会社も潰れ、5~6 年で作っては壊し、を繰り返すこの業界に対して、環境のことも含めて考えてしまいました。そしてどうせやるなら、長く使ってもらえて、将来古くなったときにいい「味」の出るものを作りたいと思ったんです。そのためには建築をやらないとやりたいことはできないと思い、2級建築士の資格をとりました。

なるほど。不思議とつながっているんですね。田中さんが言っていた、葉山の設計事務所の後は?

私たちのライフスタイルには、最初から最後まで設計も施工も全て請負うというスタイルが合っていると思い、「空間工房」という設計事務所を構えて、少しづつ新築などの依頼も受けるようになり、田中に手伝ってほしいと声をかけたんです。

「つながり」— 設計のこだわり

久保さんの設計のこだわりってなんですか?

ひとつは空間構成の「つながり」ということです。私たちとしては一番やりたいところであり、どうお客様に伝えるかが課題です。

現代は空間感覚が失われつつありますよね。ひょっとすると、空間構成を理解してもらうのは難しいのかもしれませんね。日頃寝て起きて暮らす家族の中から変わっていかないとダメなんだと思います。私は松匠さんの提案されている「つながり」というものは、とても大事なことだと思いますね。

なるべくナチュラルな環境に住めたらいいなと思うんです。その中でお互いが、ちょっとだけ気遣う。ちょっとずつ歩み寄れば、いいことだと思うんです。きちきちっと役割分担を決めるのではなく、そんな微妙なバランスをとりながら心地よく暮らせる空間を提供したいと思っています。

人間て割り切れないものですもんね。

そうなんですよね。その魅力を私たちがちゃんと伝えていくということを常に考えています。まず、必ず模型を作るんですよ。

嬉しいですよね!こういうのがもらえたら。

模型作りは夜中になってしまうことが多いんですけど、大好きな作業で、ついつい時間を掛けてしまうんです。もう趣味に走っています(笑)。私、便器とかも作っちゃうんですよ。冬休みをすべて模型作りに費やしたこともあります。ディズニーランドのイクスピアリの階段だったんですけどね。ものすごく楽しかったです。設計の仕事がなくなったら模型屋さんになろうねなんてみんなで話していたくらい(笑)。

設計と施工を一社でやるということ

久保さんが設計して、松田さんが施工するというのは、お客さんにとって、一緒に家づくりをする相手が一社という意味で、理想ですね。

はい。みなさんによくそう言っていただいています。

こうして仕事場と生活空間が一緒だと、松田さんとずっと仕事の話にならないですか? (*註:松田さんと久保さんはご夫婦)

私は元々仕事とそうでない時の「オン」「オフ」があるタイプだったんですけど、それを気にしていると仕事ができないので、考えないようにしようと決めたら、とても楽になりました。ご飯を食べながら、仕事の話をしますし、その逆もありますが楽しいです。松田と二人で「月 1 ライブ」と称して出かけることを10年以上続けています。野球観戦とか、コンサートなど幅広いジャンルの催しに出かけるんです。
 
そういった文化や芸術に触れていると、共通の話題づくりにもなりますしね。松田の太鼓は松田の趣味として、私はやらない。
我慢しているわけではなくて、単に演奏することにさほど興味がないというだけなんですけど(笑)。

松匠創美って~だよね

「松匠創美って~だよね」と言われるとしたら何て言われたいですか?

「自然体だよね」。ですかね。家の中って人間がありのままでいられる空間であるべきだと思うんです。お客様との打ち合わせってだいたい日曜日だったり休日が多いこともあって、お客様の服装も休日スタイルですし、私たちが着るものもスーツでカチッとではなく、少しだけラフに、お客様とあわせるようにしています。

松匠創美というと人が浮かびますよ。「私」と「あなた」が混ざり合うというか、ワンネスを感じますね。

久保:そう言っていただけることが、私たちの喜びです。